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子どもたちの諸症状とケアのポイント



アトピー性皮膚炎
 痒が強く、冬季に悪化する傾向がある。合併症として、喘息(ぜんそく)などのアトピー性皮膚炎、白内障などがある。

 また、ウィルス性疾患などにかかりやすく、外用剤(塗り薬・湿布など)による接触皮膚炎になることよくもある。肌の湿疹、荒れと、痒みによる患者の肉体的・精神的苦痛が問題。

 さらに、再発を繰り返すことによって治療意欲を失い、社会生活のすべての面で消極的・悲観的になりやすい。必ず治る病気であること、ありふれた皮膚病で特異なものではないことを理解させて励ますことが大切。

ダウン症

染色体の異常が原因。

(1)特徴
 丸顔・短顔・後頭部扁平・顔面中央部低形成・小頭症・目尻がつり上がる。近視・遠視・斜視・乱視や、白内障などの合併が多い。口を開けっぱなしにしたり舌をぺろぺろ出す。全体として耳たぶが小さい。手足とも短い。筋肉の緊張が低いために腹部が膨れる。精神発達遅延。女の子の半数では、思春期に肥満となる。
(2)日常・社会生活
 やけど、車への注意など日常生活上の注意を徹底する。周辺社会への受け入れの障害とならないよう、身の回りの清潔には特に注意することが必要。言語理解はよいが、自ら話すことは困難。音楽、書字能力は良好。 障害児は、心優しく、傷つきやすい。また、健常人より根気強いことが多いといわれ、かなり複雑な仕事をこなすエキスパートとなりうる。
てんかん
てんかんは、いろいろな原因で起きる慢性の脳疾患であって、一種類の病気ではなく、一つの症状名である。
(1)意識を失わない発作
体の一部だけの痙攣(けいれん)症状。
横をにらむような目つきになり、頭や体の回転を伴うような発作。
(2)意識を失う発作
1)突然動作が中断し、意識が強くなり、うつろな目つきになる発作。
 多くは1〜45病秒で突然意識が戻って元の動作が続けられる。
 深呼吸や光刺激によっておこることもある。
2)突然筋肉が瞬間的にふるえる発作 全身が痙攣して意識を喪失する発作。
 (キャーというような声とともに体を硬くして倒れる。カクンカクンとさせる状態になり、やがてなおる。発作中に息ができなくなるので長く続くと危険)
(3)ケアのポイント
早寝早起きの習慣を付け、便秘、睡眠不足、暴飲暴食を避ける。とくに難治性てんかんで、脳麻痺や精神遅滞を合併している場合には、よだれや筋緊張のために不潔になりやすいので注意する。体位変換、運動、日光浴を励行する。転倒する危険性が高い場合は頭部保護など、事故防止に留意する。
筋ジストロフィー(デュシェンヌ型)

 進行性の病気で、体のすべての筋力が徐々に弱くなっていくものである。3歳頃になると、ぎこちない走り方をする事に気付くことはあるが、最終的に筋力の低下が著しくなるまで、筋ジストロフィーと判明しないことが多い。足から始まり、胴、頭部へと症状が広がるものと、その逆のものがある。

 筋肉が脂肪に換わったために、ふくらはぎなどの筋肉が異常に肥大して見えることがある。また、筋力の一部だけが低下するために、バランスが崩れて骨格が変化する。 この疾患の子供の約70%に精神薄弱がみられ、通例、IQは80(境界)のレベルである。

 有効な薬剤は、現在のところ見つかっていない。通常10代の後半で死亡することが多いが、その原因は、主に心不全(心筋の弱化による)または呼吸筋の薄弱化による肺感染症のためである。積極的な態度を保持するために、第1に子供の生きているうちに治療法が見つかるという希望を捨てないこと、第2に子供の短い一生が単なる「治療の生活」ではなく、楽しみと創造に満ちた生活にもなりうるという原則を持つことが大切である。またこの年頃の子供は疲れやすいので、休みは必要である。

感音性難聴

 音を外耳や中耳に伝える器官の疾患である伝音性難聴に対して、音を内耳や脳に伝える器官の疾患による難聴。他の症状を伴わないものや、様々な症状を伴う症候群の、部分症候としてみられるものとがある。先天性難聴と後天性難聴とに区別される。進行すると高度の難聴となり、適切な治療法もなく、回復しにくい。

 高度の難聴でも、片側だけなら日常生活には不便がほとんどない。それに対し、両側の耳とも日常会話が聞き取れないと、会話その他の音響を介しての社会適応は難しい。しかし、ある程度の制約はあるが、全聾でも十分に社会生活は営まれる。

精神発達遅延

 脳障害による症状を大別すると、精神遅滞、てんかん、脳麻酔、行動異常(情緒障害)となり、これらの症状が単独にあるいは重複して存在する。精神遅滞の症状の程度は、境界(IQ70〜80)、軽度(50〜70)、中等度(35〜50)、重度(35以下)となる。境界あるいは軽度遅滞は教育可能であり、ある程度社会に適応できる。中等度では訓練が可能で、食事や衣服の着脱などの生活習慣的なことは自分でできるし、保護された場での単純作業も可能である。重度においては周囲に対する反応は乏しく、訓練の高価もほとんど期待できない。

 幼児期に言葉の遅れ、固執傾向、自閉的傾向が顕著となり、それらが学童期には学習能力の遅れや社会適応の問題としてあらわれる。

脊椎裂(せきついれつ)
胎生期発育の異常(先天性)のため脊椎がくっつかずに左右に分裂しているもの。脊椎は、神経組織を内部で保護しているが、この脊椎が、管状になりきらないもの。
(1)潜在性二分脊椎
 脊椎の後ろの部分が形成されていないという、形の欠陥。
(2)髄膜瘤(ずいまくりゅう)
 髄膜のみが脊椎の開いた部分からはみでたヘルニアのようなもの。
(3)脊髄瘤(せきずいりゅう)
 髄膜だけでなく、脊髄神経組織もはみ出たもの。
 この場合、たいてい神経症状が出て、歩行障害、下半身の変形、下半身の知覚障害、反復性尿路感染(免疫機能が不全のためおこる)、膀胱直腸障害(尿や緩い便を絶えず漏らしてしまう)を合併する。
 また、水頭症(知能の遅れと、時に下半身の麻痺や痙攣発作を起こす)のこともある。
 脊髄瘤では、麻痺に加え、皮膚の痛覚、温覚、触覚が完全に失われるのが普通である。そのため、火傷や、圧迫潰瘍(かいよう)などを起こしやすいので注意が必要。子供の多くは正常か、やや正常を下回る知的機能を持っており、学習は可能である。
 水頭症の子は、しばしば非常にくどくど話す。これらの子に対しては、多弁だからといって知的作業に対して過度の期待を寄せないよう、注意が必要である。
脳性麻痺
脳腫瘍、頭蓋骨骨折や脳出血などにより、脳に対しての障害の影響があらわれ、その結果として運動障害となる後天性のものと、妊娠中や出産時に受けた疾病や障害によっておこる先天性のものに分けられる。片手(足)だけの場合から、四肢とも重症の場合がある。痙直(れんちょく・四肢の筋肉が硬く、強く収縮し、急に動いたり伸びたりする)や、アテトーゼ(四肢を回旋させたり、体を数秒間ねじ曲げたままにした後元に戻したり、四肢の間接を急に繰り返し動かす)や、硬直や、平衡感覚の失調などの運動障害をおこすことがある。

 また、言語能力、視力、精神遅滞、よだれ、虫歯の多発などの場合がある。

 約3分の1は知能正常で、基本的にはほとんど自分のことは自立でき、一般社会に同化している。

小児自閉症
(1)周囲からの極端な孤立
 小児自閉症児は周囲の人物に対して全く関心を示さず、視線が全く合わないことが多い。また、歩けるようになると、手を離すとすぐにどこかに行ってしまうことが多い。同年齢の子供や玩具に対しても関心がない。何かを要求するときも、その人をみて願望を表明することはなく、ただ手首を握って自分の要求するところへ連れて行き、それを操作させようとする。
(2)特有な言語症状
 多くの小児自閉症児には言葉が無いが、次のような言葉を発することはある。痛い目にあうと、「イタッ」とか、はっきりとしゃべることがある。また、母親がしゃべったことを感情を込めずにそのままオウム返しにしたり、ずっと以前に耳に入った言葉をそのまま反復したり、意味のない言葉を何度となく繰り返したりする。
(3)同一性保持の傾向
 事物に対しては特別に強い関心を示すことが多い。その中でも、ものの配列、位置などについて脅迫的に同一の型にはまっていることを好み、これが変更されると著しい興奮を示す傾向がある。この同一性に対する関心がしばしばその年齢に比較して一見高度な知的効果を生むことがある。
レット症候群
女児のみに起こる進行性の神経疾患で、知能や言語・運動能力が遅れ、常に手をもむような動作や、手をたたいたり、手を口に入れたりなどの動作を繰り返すことを特徴とし、いまだ原因も治療法もわかっていない。 女児出生率一万から一万五千人に一人の発生率といわれ、生後六ヶ月から一年六ヶ月の頃に発症する。 この疾患は発見者Rett博士の名を取って「レット症候群」と名付けられた。