東京都荒川区 母子生活支援施設 定期訪問 (2000年10月分)

 10月の定期訪問に参加して頂いたボランティアの方の感想を掲載します。

 私は、定期訪問で子ども達と接するたびに、いつも驚きと感激でいっぱいになります。
 今回は、近くの公園で開催される4時間耐久(大人の)三輪車レースの応援とフリー
マーケットに行こう!というものでした。三輪車レースは、KIDSのチームも毎年出場
しているそうです。KIDSのお兄さん達が前を通過するたびに大きな声援(?)を送っ
ていた子ども達もすぐに、自分達の遊びを見つけ始めました。

 私は、Sちゃんという5才の女の子の担当となりました。その公園には、いくつかの
自転車練習場があり、自転車を借りて、その子の技量に合わせた練習場で練習するこ
とが出来ます。Sちゃんも、「乗りたい」と言って早速、たくさんある自転車の中から
ピンクの可愛い自転車を選び出しました。まずは、補助輪をはずしたばかりの子が練
習するところで、乗ることにしました。「絶対に、後ろ押さえていてね」
よろよろ、よろよろ・・・としながら、Sちゃんは、一生懸命ペダルを漕ぎます。
最初は、押さえていないと怖がって乗れなかったSちゃんですが、お昼の時間が近づい
てきた頃には、よろよろしながらも一人で乗れて、曲がることも出来るようになりま
した。とっても楽しそうに、乗りながら何度も何度も、満面の笑顔を向けてくれます。
「Sちゃん!すごいよ!上手!上手!やったぁ!」まったく、私もすっかり、母親のよ
うな気分です。ここまで頑張ったSちゃんが誇らしく、とってもいとおしく思えます。
 すっかり興奮したSちゃんと私は、お弁当の時間にちょっぴり遅れてしまって、慌て
て戻りました。嬉しいお弁当タイム。みんなでわいわい食べるのは、とっても楽しい
ものです。ここで、また一つ。嬉しいことがありました。Sちゃんは、梅干しが苦手な
のですが、私が食べているのをじっと見ていて、「Sも梅干し食べる・・・」と言い出
したのです。Sちゃんは、梅干しをじっと見つめると、一気にお口の中へ。顔一杯のす
っぱそうな表情・・・・。頑張れ、頑張れ・・・。KIDSのお姉さん達の見守る中、Sち
ゃんは、梅干しを一生懸命に食べると、お口から出した梅干しの種を、宝物のように
そっと私に見せてくれました。「やったね!えらい!えらい!頑張ったね」Sちゃんの
嬉しそうな顔を見ると私まで、嬉しくなってしまいました。
 梅干しパワーでたっぷり栄養補給をした後は、また自転車の続きです。しばらく練
習をしてずいぶん上手に乗れるようになってくるとSちゃんは、上手に乗れる子のコー
スの方へ行きたいと言い出しました。そこは、周回できる自転車コースで、途中に小
さな信号までついたコースです。小学生くらいの大きな子が、びゅんびゅん飛ばして
走っているのです。もう、こっちは、心配で、心配でたまりません。
まずはコースの外側の車線を様子を見ながら走ることにして、恐る恐る挑戦すること
にしました。先にこちらのコースで乗っていたTくんも心配して、「大丈夫かぁ?」と
Sちゃんのすぐそばに付添ってくれました。(普段やんちゃなTくんのこんな優しい一
面に、またまた感激です。)ところが、2周もするうちに、Sちゃんは、ちゃんとみん
なの流れについていっているのです。1周毎に、走りも安定し、スピードも出て、余
裕すら感じます。こんな短時間で、自転車の後ろを押さえなくちゃ乗れなかったSちゃ
んが、今、堂々と年上のお兄さん達と一緒に自転車に乗っている・・・・。なんだか、
すごい場面に遭遇してしまいました。Sちゃんは半日ですっかりお姉さんになったよう
です。

 子どもと一緒に過ごす時間は、新たな発見や、忘れていた感動にあふれています。苦
手を克服したときの喜び、仲間を思いやり強い子が弱い子を守ってあげること、また、
木々が色づき季節が移り変わりゆく様子。子どもの目線は、私にいろいろなことを気付
かせてくれます。そしてとても暖かい気持ちにしてくれるのです。
 たっぷり遊んだ後は、恒例の銭湯です。さっき、とてもお姉さんになったSちゃんで
すが、またいつもの甘えん坊のSちゃんに戻って、しっかり私の手を握って
はしゃいでいます。そんなSちゃんをまた可愛いなぁと思うのでした。
 最後に、三輪車レースのKIDSチームの結果ですが、「敢闘賞」に値したとだけご報
告しておきます。